PR動画の著作権|BGMや映像素材利用時の注意点

「動画をうまく活用したいけど、著作権侵害のことを考えると怖くて一歩踏み出せない…」

PR動画の活用が当たり前になった今、多くの経営者が、あなたと同じように「著作権」という、目には見えないリスクに不安を感じています。

ご安心ください。

動画制作に関わる権利は、正しい知識さえ持てば、きちんとコントロールできるリスクです。

この記事を最後まで読めば、あなたの不安は「これなら大丈夫」という自信に変わります。

この記事はこんな方にオススメ

  • 動画制作に興味はあるが、権利侵害のリスクが怖くてためらっている方
  • 安全に使えるBGMや映像素材の、具体的な探し方を知りたい方
  • 制作会社に依頼する前に、最低限の知識を身につけておきたい方
目次

そもそもPR動画の著作権って何?

動画制作に関わる権利はいくつかありますが、まず、すべての基本となるのが『著作権』です。

ここを理解することが、リスク管理の第一歩となります。

著作権とは、法律(著作権法 第二条)で「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定められていますが、難しく考える必要はありません。

シンプルに言えば、

人が頭を使って創作した「作品」の作者に与えられる権利のことです。

具体的には、以下のようなものがすべて著作権で守られています。

  • 音楽:
    あなたが好きなアーティストの楽曲、BGM素材サイトの音楽
  • 映像:
    映画、アニメ、テレビ番組、YouTubeに投稿されている動画
  • 静止画:
    プロが撮影した写真、自分で描いたイラスト、Webサイトの画像
  • 文章:
    小説の一節、ブログの記事、企業のキャッチコピー
  • その他:
    コンピュータプログラム、地図、図面など

これらはすべて、作者が許可なく使われることから守られているのです。

より詳しく知りたい方は、文化庁が公開している分かりやすい資料で確認することもできます。

(出典:著作権|文化庁)

この「作品=作者のもの」という「当たり前」の感覚が、すべての基本になります。

もし著作権を侵害してしまったら…?

この章では、実際に起きてしまった3つの悲しい実例をご紹介します。

  • Webサイトでの写真無断使用
  • 店舗紹介動画でのBGM無断使用
  • SNSでのキャラクター無断使用

では、実際に著作権を侵害すると、どうなるのか。

これは決して他人事ではありません。

【実例1】Webサイトで写真を1枚、無断使用してしまったケース

ある企業が、ブログ記事に合う写真を探し、ネットで見つけた写真家の作品を無断で使用。

結果、数十万円の損害賠償が命じられました。

たった1枚の写真が、会社の資金と信用に大きな傷をつけたのです。

【実例2】店舗紹介動画のBGMに、好きなアーティストの曲を使ったケース

ある飲食店のPR動画に、J-POPのCD音源をBGMとして無断で使用しSNSに投稿。

これが音楽の著作権を管理する団体(JASRACなど)の目に留まり、動画の削除と、過去の使用料を含めた高額な和解金を支払うことになりました。

【実例3】アニメのキャラクター画像を、会社のSNSで無断使用したケース

ある企業が、新年の挨拶として公式SNSアカウントに、有名なアニメキャラクターの画像を無断で投稿。

「ファンアートのつもりだった」という弁明もむなしく、著作権者から厳しい警告を受け、公式に謝罪。

企業のブランドイメージが大きく低下する事態となりました。

「知らなかった」では済まされない。これが著作権侵害の現実です。

じゃあどうすれば安全?著作権を侵害しない素材の入手方法と判断基準

結論から言うと、安全なルートは以下の3つしかありません。

  • ルート①:『利用規約』を読んで「フリー素材」を使う
  • ルート②:お金で安心を買う。「有料素材」を購入する
  • ルート③:権利関係が最もクリーン。「オリジナル」で制作・撮影する

どうすれば安全にPR動画を作れるのか。

ここからは、具体的な解決策を一つずつ見ていきましょう。

ルート①:『利用規約』を読んで「フリー素材」を使う

コストをかけずに動画制作を試したい場合の基本的なルートです。

「フリー素材」とは、「ルール(利用規約)を守れば無料で使っていいですよ」と作者が許可してくれている素材のことで、「イラストAC」などの専門サイトで手に入ります。

利用する際は、必ずサイトの利用規約を読み、「商用利用OK」の記載があるか、クレジット表記は必要か、といったルールを確認してから使いましょう。

ルート②:お金で安心を買う。「有料素材」を購入する

クオリティや安心感を求めるなら、こちらのルートが断然おすすめです。

「有料素材」とは、お金を払って「利用する権利(ライセンス)」を購入する素材のことで、「PIXTA」のようなプロ向けのサイトで購入できます。

お金を払う分、権利関係がクリアになっており、高品質な素材が手に入るため、ビジネスでの利用には最適と言えるでしょう。

ルート③:権利関係が最もクリーン。「オリジナル」で制作・撮影する

最も安全で、かつ独自性を出せるのが、このルートです。

自社で映像を撮影したり、クリエイターにBGMの作曲を依頼したりすれば、他人の著作権が一切絡むことはありません。

この場合、注意すべきなのは後述する「肖像権」になりますが、権利関係が非常にシンプルになるのが最大のメリットです。

これってOK?著作権のよくある質問コーナー

この章では、特に判断に迷いがちな5つのケースについて、Q&A形式でズバリお答えします。

  • Q1. YouTube動画って使っていいの?
  • Q2. ネット上の統計データやグラフは、自由に使っていい?
  • Q3. 昔の小説の一文や、歴史上の人物の肖像画は自由に使っていい?
  • Q4. 他社のSNS投稿を、スクリーンショットして紹介するのは?
  • Q5. AIで生成した画像や音楽は、著作権フリーで自由に使えますか?

Q1. YouTube動画って使っていいの?

A. これは「窓から景色を見せる」か、「庭の木を引っこ抜いてくる」かの違いです。

  • 埋め込み(OK):
    YouTubeの「共有」機能を使って自社サイトに動画を貼ること。
    これは、YouTubeにある動画を、いわば「窓」を通してそのまま見せているだけなので、問題ありません。
  • ダウンロードして再利用(NG):
    動画をダウンロードして自社の動画の一部として使うこと。
    これは、他人の家の庭の木を勝手に引っこ抜いてくるのと同じで、明確な著作権侵害です

Q2. ネット上の統計データやグラフは、自由に使っていい?

A. いいえ、無断転載はNGです。グラフも立派な著作物です。

官公庁の統計データなどは比較的自由に利用できる場合が多いですが、民間の調査会社が作成したグラフやデータを転載する場合は、必ず出典元を明記し、引用のルールを守る必要があります。

どこまで許されるかは、データの提供元が定める利用ルールを必ず確認してください。

Q3. 昔の小説の一文や、歴史上の人物の肖像画は自由に使っていい?

A. 「パブリックドメイン」ならOKですが、確認が必要です。

日本では、著作権は原則として著作者の死後70年で消滅し、社会の共有財産(パブリックドメイン)になります。

夏目漱石の小説などはこれにあたります。

ただし、翻訳者には別に翻訳権があったり、肖像画の所蔵館が利用ルールを定めている場合もあるので、「作者の没年」を調べると同時に、利用元の規約も確認する癖をつけましょう。

Q4. 他社のSNS投稿を、スクリーンショットして紹介するのは?

A. 埋め込み機能を使いましょう。スクリーンショットは著作権・肖像権侵害のリスクがあります。

X(旧Twitter)やInstagramには、他者の投稿を自分のサイトやブログに安全に表示するための「埋め込み」機能があります。

スクリーンショットで画像として貼り付けてしまうと、投稿に含まれる文章や画像の著作権、写っている人物の肖像権を侵害する可能性があるので、必ず公式の埋め込み機能を使いましょう。

Q5. AIで生成した画像や音楽は、著作権フリーで自由に使えますか?

A. いいえ、生成AIの利用規約を必ず確認してください。

AIで生成されたコンテンツの著作権の扱いは、非常に複雑で、まだ法整備が追いついていない部分もあります。

商用利用を禁止しているサービスも多く、また、AIが学習したデータに他者の著作物が含まれている可能性もゼロではありません。

トラブルを避けるためにも、利用するAIサービスの規約を熟読し、商用利用が明確に許可されているかを確認することが不可欠です。

(出典:株式会社メディア開発綜研)

インターネットの違法・侵害の相談も年々増え続けており、注意が必要です。

制作会社に依頼するなら?著作権の契約チェックリスト

制作会社に依頼する際は、最低限、以下の2つのポイントを必ずチェックしましょう。

  • チェック①:契約書で「権利の帰属」を確認したか?
  • チェック②:使用素材の「ライセンス証明書」はもらえるか?

制作会社に任せきりにして、知らないうちに著作権侵害をしていた…。

そんな事態を避けるためにも、発注者であるあなた自身が、最低限のチェック機能を果たすことが重要です。

チェック①:契約書で「権利の帰属」を確認したか?


完成した動画の著作権が、最終的に「自社」のものになるのか、それとも「制作会社」に残るのか、ここは契約時に必ず明確にすべき最重要項目です。


もし著作権が制作会社に残る契約(利用許諾契約)の場合、例えば動画の一部を切り出して別の広告に使ったり、二次利用したりする際に、都度制作会社の許可や追加料金が必要になる可能性があります。


後々の自由な事業展開のためにも、

「成果物の著作権は、乙(制作会社)から甲(自社)に譲渡されるものとする」という一文があるか、
契約書を隅々まで確認してください。

チェック②:使用素材の「ライセンス証明書」はもらえるか?

誠実な制作会社であれば、動画内で使用した有料BGMや映像素材について、「私達は正規の手続きで購入し、規約に則って使用していますよ」ということを証明する書類(ライセンス証明書や購入証明書など)を提示してくれるはずです。

「念のため、使用された素材のライセンス証明書をいただけますか?」と依頼しましょう。

決して失礼なことではありません。


むしろ、権利関係をしっかりと意識している発注者であるという意思表示になり、制作会社側もより一層気を引き締めてくれる効果も期待できます。


この一言が、あなたの会社を将来のリスクから守る、大切なお守りになるのです。

著作権だけじゃない!PR動画で知っておきたいその他の権利

著作権以外にも、特に注意すべき権利が3つあります。

  • ①「人」を守る権利:『肖像権』と『パブリシティ権』
  • ②「企業のブランド」を守る権利:『商標権』
  • ③「背景」に映り込むものへの配慮:『意匠権』など

著作権のリスクは理解できた。

しかし、動画制作には、他にも注意すべき権利が存在します。

ここでは、特に重要なものを3つご紹介します。

①「人」を守る権利:『肖像権』と『パブリシティ権』

肖像権とは?

すべての人が、無断で自分の顔や姿を撮影・公開されないように主張できる権利です。

たとえ自社の社員であっても、必ず「出演承諾書」を取り交わしましょう。

パブリシティ権とは?

有名人の場合、この肖像権がさらに強力になった『パブリシティ権』という権利になります。

これは、有名人の名前や肖像が持つ顧客吸引力(お金を生み出す力)を守るための権利で、無断使用は高額な損害賠償に繋がります。

②「企業のブランド」を守る権利:『商標権』

他社のロゴマークや、特徴的な商品名・サービス名には、『商標権』という、ビジネス上のブランドイメージを守るための非常に強力な権利が関わっています。

紹介目的であっても、無断使用は絶対にやめましょう。

③「背景」に映り込むものへの配慮:『意匠権』など

街中での撮影などで、他社の建物や特徴的なデザインの製品が背景に映り込むことがあります。

そのデザインが『意匠権』で保護されている場合、映り込み方によっては権利侵害とみなされる可能性もゼロではありません。

メインの被写体ではなく偶発的に映り込む「写り込み」は許容される範囲が広がっていますが、意図的に特定の建物をメインに撮影するような場合は、建物の管理者に許可を取るのが最も安全です。

まとめ:PR動画の著作権は、あなたの会社を守る「知識の盾」になる

PR動画制作に関わる著作権や、その他の権利は、面倒なルールではなく、あなたの会社をトラブルから守ってくれる「知識の盾」です。

制作会社に任せることは、決して悪いことではありません。

しかし、最終的な責任の一端は、発注者であるあなたにもあります。

「知らなかった」「任せていた」で会社の信用を失うことのないよう、正しい知識を身につけておきましょう。

リスクへの備えが万全になった今、ぜひ次のステップへ進んでみませんか?

「自社には、どんなPR動画が合っているんだろう?」
「動画で成果を出すには、どうすればいいんだろう?」

そう思った方は、ぜひこちらの記事も読んでみてください。

きっと、あなたの会社の動画活用のヒントが見つかるはずです。

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この記事を書いた人

関西圏(大阪・兵庫・京都・奈良・和歌山・三重)を拠点に、採用・PR・マニュアル動画などを累計 500本超 制作。YouTube・TikTok運用代行から MEO 対策までワンストップで支援し、中小企業を中心に数多くの採用・集客課題を解決してきました。
「中小企業の最強のサポーターになる」 ことを目指し。専門用語ゼロで“今日から試せるノウハウ”をお届けします。
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